「うちの社員、仲は悪くないんですよ。飲み会にも普通に行く。でも、部署をまたいだ仕事になると、急に連携しなくなる」
鹿児島でチームビルディング研修を検討している経営者の方から、こういう相談をよく受けます。
ギャラップ社の「グローバル職場環境調査2024」によれば、日本で仕事に意欲的に取り組む従業員(エンゲージドな社員)の割合はわずか6%。140を超える国・地域の中でも世界最低水準です。問題は「仲の悪さ」ではなく、組織の中で人と人がつながりきれていないこと。とくに部署と部署のあいだには、目に見えない壁ができやすい。
この記事では、なぜ懇親会や社内イベントでは部署の壁が壊れないのか、そして屋久島の自然の中で何が起きるのかを、研修やリトリートの現場で実際に見てきたことをもとに、正直に書いていきます。
目次
「仲は悪くない。でも連携しない」——経営者が見落とす壁

部署間の壁は、対立しているチームよりも、むしろ「表面上は仲がいいチーム」で見えにくくなります。
挨拶もする。雑談もする。だから経営者からは問題なく見える。でも、いざ部署をまたぐプロジェクトが始まると、「それはうちの担当じゃない」「先に向こうが決めてほしい」と、お互いがボールを持ちたがらない。情報も、必要最低限しか流れていかない。
これは個人の能力や性格の問題ではありません。組織が大きくなるほど自然に起きる「サイロ化」という現象です。それぞれの部署が自分たちの目標と評価軸で動くうちに、隣の部署の事情が見えなくなり、相手を「同じ会社の仲間」ではなく「別の論理で動く外部」として扱うようになっていく。
SOUでは鹿児島・屋久島で企業研修やリトリートを運営していますが、定例の打ち合わせで外部のマーケティング担当者と話していたときにも、まさにこの「部署間の壁」「心理的安全性」が、多くの企業が言語化できずに抱えている課題だという話になりました。当事者は「なんとなくやりにくい」とは感じている。でも、それが何なのかをうまく説明できない。だから対策も打てない。
経営者の方が「研修でなんとかしたい」と思うのは、この見えない壁を、外から手を入れて壊したいからだと思います。
壁があると、何が起きるのか
部署の壁が放置されると、まず意思決定が遅くなります。一つの判断に、いくつもの部署の「確認」が挟まり、誰も責任を取りたがらない。
次に、同じ失敗が組織のあちこちで繰り返されます。ある部署が学んだ教訓が、隣の部署には伝わらないからです。
そして最後に、優秀な人ほど疲れて辞めていきます。「部署をまたいで物事を前に進めようとする人」は、本来いちばん組織に必要な人材ですが、壁にぶつかり続けると消耗します。離職の理由として語られるのは「人間関係」ですが、その正体が、実はこの部署間の摩擦であることは少なくありません。
懇親会でも社内イベントでも、部署の壁が壊れない理由

ここで一つ、よくある誤解を正させてください。
「だったら、部署を混ぜた懇親会や社内イベントをやればいいのでは?」——多くの会社がこれを試します。バーベキュー、社員旅行、運動会、シャッフルランチ。たしかに楽しい。その場は盛り上がる。
でも、月曜日になると、組織は元どおりになっている。
なぜか。懇親会や社内イベントの多くは、「いつもの自分」のまま参加できてしまうからです。役職も、部署の立場も、社内での評判も、その場に持ち込める。気の合う人とだけ話し、苦手な人とは距離を保つこともできる。つまり、普段の人間関係の構造が、場所を変えただけでそのまま再現されてしまう。
楽しい時間は、関係を「悪化させない」効果はあります。でも、すでにできあがった壁を「壊す」力はそれほど強くない。
個別コーチングをしていても、似たことを感じます。人は、安全で慣れた場所にいるかぎり、本当の意味では変わりません。「現状の外」に出て、いつもの自分ではいられない状況に置かれたとき、はじめて固まっていたものがほどけ始める。これはチームでも同じです。
部署の壁を本当に越えるには、「いつもの自分」を一度脇に置かざるを得ない場が必要なのだと思います。
自然の中で、部署の境界が消えた瞬間

屋久島で研修プログラムをやっていると、部署の壁が「ほどけていく」場面に、何度も立ち会います。
たとえば、森の中を一緒に歩く時間。誰かがぬかるみで足を滑らせそうになると、隣にいた人がとっさに手を差し出す。それが、普段ほとんど口をきいたことのない他部署の人だったりする。肩書きも部署名も関係なく、ただ目の前の人に手を貸す。そういう小さな瞬間が、一日に何度も積み重なっていきます。
野外での煮炊きも同じです。火をおこし、限られた道具で一つの料理を仕上げるには、誰かが段取りし、誰かが手を動かすしかない。「これはうちの担当じゃない」と言っている余裕はありません。気づけば、いつもなら指示を待つ人が自分から動き、いつもなら仕切る人が誰かに任せている。役割が、自然に組み替わっていく。
ある回では、研修の後半に、参加者の一人がぽつりとこう言いました。「同じ会社にいるのに、この人がこんなに頼れる人だって、今日まで知らなかった」。隣の部署の人について、です。
なぜこういうことが起きるのか、正直に言えば、すべてを説明しきれるわけではありません。でも確かなのは、肩書きが意味を持たない環境に身を置くと、人は相手を「部署の代表」ではなく「一人の人間」として見はじめる、ということです。境界は、誰かが命令して壊すものではなく、条件が整えば自然にほどけていく。
なぜ屋久島の体験が「越境」を生むのか
ここには、いくつかの理由があると考えています。
一つは、心理的安全性が「制度」ではなく「体験」から生まれるということ。Googleが社内の生産性を調べた「プロジェクト・アリストテレス」では、成果を出すチームに共通する最大の要素は、メンバーの個々の能力ではなく、心理的安全性——「ここでは安心して発言できる」という感覚——だったことが知られています。ただ、この感覚は研修で「心理的安全性が大事です」と説明されて身につくものではありません。実際に、弱さを見せても受け止めてもらえた、という体験を通してしか育たない。山道で手を借りる、火を一緒に囲む。そういう体験が、言葉より先に「この人たちの前では大丈夫だ」という感覚を作ります。
二つめは、非日常が「いつもの役割」を一度リセットすること。オフィスという舞台を離れると、肩書きという衣装が脱げます。部署の論理も、社内政治も、持ち込みにくくなる。残るのは、一人の人間としての素の姿だけ。その状態で過ごした時間は、職場に戻ったあとも「あのとき一緒に大変だった人」という記憶として残り、部署を越えて連絡を取りやすくなります。
三つめは、焚き火を囲む振り返りの時間です。屋久島の夜、火を囲んで一日を振り返ると、不思議と普段は言えない言葉が出てきます。「実はあのとき助かった」「ずっと言いそびれていたけど」。会議室の蛍光灯の下では出てこない言葉が、火のゆらぎの前ではこぼれ落ちる。この時間が、体験を「ただ楽しかった」で終わらせず、職場での関係性に翻訳していく橋渡しになります。
屋久島には樹齢2000年を超える屋久杉が生きています。一本の木に見えて、森全体が地中で根をつなぎ、支え合って立っている。部署も本来は、そうやってつながっているはずのものだと思うのです。
鹿児島チームビルディング研修の進め方
「興味はあるけれど、何から始めればいいのか」という方のために、SOUでの大まかな流れをお伝えします。
まずは無料の60分相談から。御社でいま部署間にどんな摩擦が起きているのか、どの部署とどの部署のあいだに壁があるのかをお聞きします。ここを丁寧にやらないと、研修が「ただの楽しいイベント」で終わってしまうからです。
次に、課題に合わせたプログラムの設計。森での対話、協働型のチャレンジ(登山や野外調理など)、焚き火での振り返り——これらを、御社の状況に合わせて組み立てます。期間や人数、宿泊の手配もここで一緒に詰めていきます。
そして屋久島での実施。日常から物理的に離れることそのものが、プログラムの一部です。
最後に、研修で生まれた変化を職場に持ち帰るための振り返りの設計まで伴走します。一度の研修で組織が完全に変わるわけではありません。でも、「あの人とは、部署が違っても話せる」という関係がいくつか生まれれば、壁は確実に低くなっていきます。
こんな組織にこそ、屋久島の研修が向いている

すべての会社に屋久島での研修が必要だとは思いません。ただ、これまで現場で見てきた経験から、とくに効果を感じやすい組織には、いくつかの共通点があります。
一つは、急に人が増えた組織です。事業が伸びて中途採用が続くと、「同じ会社なのに、お互いをよく知らない人」が一気に増えます。制度や評価の仕組みは整えても、人と人の信頼は後回しになりがち。ここに壁ができます。
二つめは、リモートワークが定着して、雑談が消えた組織。効率は上がったけれど、画面の向こうの相手が「どんな人か」が見えなくなった。テキストのやりとりだけでは、部署をまたいだ信頼は育ちにくいものです。だからこそ、一度しっかり同じ時間と空間を共有する意味があります。
三つめは、経営者自身が「うちのチームは、もっとやれるはずだ」と感じている組織。能力は十分ある。仲も悪くない。なのに、いまひとつ噛み合っていない。その「あと一歩」の正体が、たいてい部署間の見えない壁です。
逆に、まず人事評価や業務フローの設計そのものを見直すべき段階の組織もあります。そういうときは正直にそうお伝えします。研修は万能薬ではなく、組織の土台が整ってきたチームが、次のステージへ進むための起爆剤だと考えているからです。御社がいまどの段階にいるのかも、無料相談の中で一緒に見極めていきます。
まとめ——壁は、壊すより「ほどく」もの
部署間の壁は、仲が悪いから生まれるのではありません。それぞれが真面目に自分の持ち場を守るうちに、自然と立ち上がってくるものです。だからこそ、懇親会の楽しさだけでは壊れない。
必要なのは、肩書きを一度脇に置き、一人の人間として助け合う体験です。屋久島の自然の中には、それが自然に起きる条件があります。
- 部署を混ぜたイベントをやっても、月曜には元どおりに戻ってしまう
- 「仲は悪くないのに連携しない」状態が続いている
- 研修を、楽しいだけで終わらせず、組織の変化につなげたい
一つでも当てはまるなら、鹿児島・屋久島での体験型チームビルディング研修が、突破口になるかもしれません。
SOUでは、世界自然遺産・屋久島の環境を活かし、座学では届かない「体験からの気づき」を通じて、部署を越えてつながるチームづくりをお手伝いしています。
まずは無料相談(60分)で、御社の「見えない壁」について話してみませんか。最適なプログラムを一緒に考えます。